不動産投資を検討している人の中には、不動産投資ファンドという言葉を聞いたことある人が多いでしょう。

しかし、不動産ファンドという言葉として捉えるのは簡単ですが、実際に不動産投資ファンドの仕組みや種類はどんなものがあるのか理解している人はなかなかいないでしょう。

不動産投資ファンドを理解しておくと、不動産投資を行う時に非常に便利なので、仕組みや種類について解説していきます。

不動産投資ファンドの特徴

ファンドというのはいろんな人から資金を集めるという意味なので、不動産投資ファンドとは「多くの投資家達から資金を集め、不動産を購入して得られた収益を分配する」投資方法ということです。

つまり、不動産投資ファンドは自分が不動産投資会社に出向いて、不動産を選び自分で管理運用する、という方法ではなく、ファンド会社で資産運用してもらう方法のことを指します。

不動産投資ファンドの特徴としては、自分だけで資金を調達して不動産投資をするのではなく、多くの投資家達と共同で資金を出し合うことだといえます。

そのため自分だけでは購入ができないような高価な不動産物件を購入することもでき、これが不動産投資ファンドを利用する大きな強みです。

また、不動産投資ファンドが取り扱っている物件は、居住用だけではなくて、オフィスビルやホテル、医療施設などもありますし、海外の不動産投資も可能という大きな視野を持って不動産投資ができることも特徴的です。

かなり幅広い分野で不動産物件の購入を検討できて、自分だけで不動産投資をするより安心感もあるため、初心者が不動産投資を行う時は不動産投資ファンドを利用することも多いといえます。

不動産投資ファンドと現物不動産の違い

不動産投資ファンドと現物不動産の大きな違いは、投資対象の範囲の広さです。

現物不動産は居住用がほとんどですが、不動産投資ファンドは多様性があり様々な物件に投資をすることが可能です。

また、現物不動産の場合は自分で物件全ての費用をまかなわなくてはいけないので、不動産投資用のローンを組んで月々の支払いをしながら損益を考えていかなくてはいけません。

ですが、不動産投資ファンドの場合は複数人の投資家達の間でお金を出し合うので、費用負担が少なく済みます。

費用の負担が少なく済むにもかかわらず、投資できる対象物件が幅広くて、自分の可能性を楽しめることは、不動産投資ファンドの大きな強みです。

さらに、現物不動産の場合は、所有している物件の管理を自分で行わなくてはいけませんし、何かがあれば物件に出向く必要もあります。

自分でできないという人は管理会社を選定することで委託することはできますが、その分管理費が発生してしまうのです。

一方で不動産投資ファンドの場合は、ファンド会社が運営してくれるので投資した後は収益の分配を待つだけです。

ファンド会社の中には、最低ラインの分配金を保証してくれるところもあるので、現物不動産よりもリスクが少なく済みます。

不動産投資ファンドの2つの種類と仕組み

不動産投資ファンドは、一言で言っても実は種類が2つあり、それぞれで仕組みが全句違うので理解しておく必要があります。

また、どちらも似ているようでメリットとデメリットは変わってきますから、違いを知っておかないと自分の思う不動産投資ができないこともあるので、よく検討してください。

不動産投資信託

不動産投資信託の中でも、方法が公募ファンドと私募ファンドの2つに分かれています。

違いとしては、一般の投資家が誰でも投資できて証券会社を通せば不特定多数が購入できる公募ファンドと投資家の中でも対象となるのは専門知識を持った投資家のみで、2〜50人未満だけ購入できるというのが私募ファンドです。

不動産投資歴が浅く、まだ勉強途中だという人は不動産投資信託を利用するのであれば、公募ファンドにしてみましょう。

公募ファンドの場合は、投資信託でありながら証券取引所に上場しているので、流動性が高く、初心者でも扱いやすいことが特徴的です。

一方、私募ファンドの場合は特定の投資家だけが対象になるので、自分が該当するかを確認しなくてはいけませんが、基本的に私募ファンドは法人が対象なので、個人での投資では私募ファンドはほとんど難しいと思ってください。

さらに、私募ファンドの場合は通常公募ファンドなら数万円で良いのに対し、1億円単位で資金が必要にもなるので、一般投資家からするとあまり現実的ではないものです。

不動産特定共同事業

不動産特定共同事業も、任意組合型と匿名組合型に分かれています。

大きな違いは、任意組合契約なのか匿名組合契約なのかの違いです。

初めて聞く言葉だという人もいるかもしれませんが、任意組合型とは不動産の購入した持分を任意組合に出資しても、不動産の所有権は投資家に残される組合です。

匿名組合型は、投資家が組合に資金を出資だけして、不動産の所有権は事業者が持つことになります。

これだけ聞くと、不動産が手元に残る任意組合型の方がいいのではないかと感じますが、不動産が残るということは不動産取得税や登録免許税などの費用負担がかかるので、その点はデメリットに感じる人も多いでしょう。

ただし任意組合型は自分で物件管理をしなくてもいいことから不動産の所有権を残したい人にとってはメリットに感じることでしょう。

匿名組合型は不動産の所有権は持ちませんが、不動産登記簿に自分の名前が載らないことによって、家族などに秘密で不動産投資をしたいという人は匿名組合で不動産投資ファンドを行うことが望ましいでしょう。

また、物件管理は任意組合型と同じで、ファンド会社が物件管理、運営を行って収益を分配するため、自分で行うものが何もないこともメリットです。

しかし、不動産所有権はないので自分に万一のことがあれば、家族に収入は残せなくなります。

任意組合型と匿名組合型では、得た分配金の所得区分が違うことも特徴です。

任意組合型の場合は、自身の不動産となるので不動産所得となります。

匿名組合型の場合は、雑所得になるので、節税効果を期待したい人は、任意組合型の方がメリットを感じやすいでしょう。

まとめ

不動産投資ファンドの仕組みや種類についてご紹介しました。

現物不動産と比べると、仕組みや種類がいろいろあるので、慣れないうちは大変かもしれませんが、初めて不動産投資をする人の場合は現物不動産で全てを自分の責任のもとで行うよりも、不動産投資ファンを利用して少しずつ不動産投資に慣れていく方が賢明だといえます。