不動産投資において、節税を目的としている方も少なからずいるでしょう。

しかし、不動産投資における法人化や減価償却に関して、気をつけるべきことや注意点を知らないとうまく節税できないことがあります。

そこで、今回は不動産投資における法人化や減価償却の注意点について、失敗例もご紹介しながらお伝えしていきます。

「不動産投資で節税したい」「効率よく資産運用したい」という方はぜひ今回の内容を参考にして、自身の資産運用に活かしていきましょう。

不動産投資で減価償却や法人化を活用して節税するときの注意点を解説

今回は不動産投資で節税する時の注意点に関して、以下の2つの失敗例を用いてご紹介していきます。

  1. 減価償却
  2. 法人化

不動産投資における節税の失敗例1「減価償却」

不動産投資の減価償却による節税の失敗で多いのが、帳簿上だけでなくキャッシュフローまで赤字になってしまうことです。

不動産投資では実際に支出が伴わない不動産の減価償却を経費計上することによって、不動産の耐用年数の期間もしくは投資期間中のみ、所得税や住民税を抑えることができます。

しかし、減価償却による節税を目的に不動産投資を行い、手元の資金まで赤字になってしまう投資家が多いのは事実です。

また、減価償却による節税のもう一つの注意点として、不動産投資では売却時に失敗しやすい傾向があります。

不動産を売却するときには譲渡所得税という税金が課せられ、「譲渡所得税=課税譲渡所得×譲渡所得税の税率」によって求められます。

税率に関しては以下の通りです。

所有期間 税率
短期譲渡所得税(5年以下) 39.63%
長期譲渡所得税(5年超) 14.21~20.315%

また、不動産を売却した時の売却益(譲渡所得)は「譲渡所得=譲渡収入額-(取得費-減価償却費+譲渡費用)」によって求められます。

この式からわかるように、投資期間中に減価償却を計上しすぎるということは売却益(譲渡所得)の金額がどんどん高くなっていきますので、譲渡所得に税率をかけた譲渡所得税額も同様に高くなっていきます。

さらに、上記の表を見ていただくとわかるように5年以下での売却は譲渡所得税率が高くなっています。

ゆえに、短期での売却は譲渡所得税が高く課税されるのを知らずに減価償却を計上し続けた結果、5年以内で売却したときに多額の税金が課せられ、「利益が手元に残らない」「ローンの返済が困難になる」という事態に陥る例があります。

減価償却で節税するときは会計上も赤字にならないように注意

減価償却で節税するときに注意するべきなのは、帳簿上は赤字になっても手元の資金は黒字を維持しなければいけないという点です。

なぜならば、手元資金まで赤字になってしまうと、金融機関は投資家に対して事業としてやっていく能力が無いと判断し、今後不動産投資をしていく上で融資を受けるのが困難になります。

ただし、「帳簿上は赤字で手元の資金が黒字」という理想の状態は不動産経営の視点から見ると極めて危険な経営状態であり、災害や病気、会社の倒産があった際に対応しきれません。

そのため、今後も不動産投資によって資産を拡大していこうとお考えの方は減価償却による節税目的で不動産投資を行うのは避け、長期的な視野を持って、黒字を継続できるように不動産経営を行なっていくようにするべきです。

不動産投資における節税の失敗例2「法人化」

法人として不動産投資を行うことのメリットとしては、「経費として計上できる費用が増える」や「減価償却の調整ができる」などがありますが、一方で法人化によって損をするケースもあります。

まず、個人と法人による税金の違いは以下の通りです。

個人にかかる税率
所得税 5~45%の累進課税
所得税の税率|国税庁
住民税 10%
法人にかかる税率
中小法人 所得800万円以下:15.0%
所得800万円超:23.2%
(資本金1億円以下)
普通法人 23.4%

個人にかかる所得税が累進課税であることから、法人化をすることによって節税できるかどうかはその人の所得や物件によって様々であり、なかには「法人化することによって個人の時よりも納税額が増えてしまった」という方もいます。

所得金額や物件の条件によっては個人のほうが得になることもあり、もともと得られていた所得金額であったり、購入する物件によって税金を抑えられるかどうかが左右されます。

法人化するときはタイミングに注意

有効的に法人化を活用して不動産投資をしていくためには「どの物件で、どのようなタイミングで法人化するのか」が重要になってきます。

法人化するタイミングとして一つの目安となるのが、専業大家の場合は「不動産所得が年間330万円」、サラリーマン大家の場合は「給与所得が年間900万円」を超えたときになります。

ただし、注意するべき点として物件の規模などでも法人化の適切なタイミングは変わってきますので、売却時も見据えてシミュレーションを行い、正確に算出することをおすすめします。

法人化や減価償却で節税を行う際は不動産投資の目的に注意

不動産投資の節税の失敗例や注意点についてご紹介しました。

不動産投資では法人化や減価償却をすることによって節税に役立てることはできますが、注意しないと節税目的になってしまい、かえって損失をだしてしまうことになります。

あくまで不動産投資の目的は家賃収入であることを意識して、節税に関する知識も貯めていくべきです。

そして、上手く節税を活用しながら効率的に資産を増やしていけるように不動産投資を行なっていきましょう!

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