日本国民の多くが期待に胸を膨らませている東京五輪が間近に迫ってきましたが、一方で東京五輪開催が決定してから、密かに広まっている噂があります。

それは、東京五輪の後にはマンション価格が暴落してしまうのでは?というものです。

不動産投資をしている人やこれからマンションを購入しようと思っている人にとっては、かなり気になる話題なので、東京五輪がマンション価格に及ぼす影響について、お伝えしていきます。

五輪建設によって建設費水準は下がっていない

五輪開催のために、首都圏ではさまざまな施設が建設されています。

そのため、多くの人に仕事が行き届き、社会に対して大きな影響が与えているといえます。

しかし、東京五輪が終われば建設需要がどんどん下がるため、建設費の水準が下がるためマンションの価格も下がるのでは?と考えている人が多く、そのためマンション購入するのは東京五輪が終了してからの方がいいと考える傾向にあります。

建設費相場の場合、2017年頃から建設費水準は横ばいのままです。

東京五輪関連の施設建設が開始した頃から、少しずつ上昇していましたが2019年上半期の五輪建設終了後も建設費水準に大きな変化はありません。

そのままの状態が続いていて、下がっているわけではなく、これからも下がる見込みはないと考えられています。

五輪建設が終了しているのに、変化がないというのは建設業界がそもそも以前から慢性的な人手不足に悩まされているからです。

そのため多くの仕事が舞い降りてきた後でも、コンスタントにしごとはあるわけなので、人手が足りない状態は変わりません。

五輪建設によって仕事は増えたものの、技能者として働いてくれる人は依然として不足しているため、建設費水準が下がらないというわけです。

建設業界の人手不足は今に始まったことではなく、年々減少しているとも考えられているので、五輪建設終了を引き金に建設費水準が下がるというのは考えにくいといえます。

こうした人手不足問題はすぐに解決することではありませんし、技術職になるので働き始めた人もすぐに技術を習得できず、途中で挫折する人も多くなかなか改善されません。

このことから、建設費水準が下がらないためマンション価格が下落するというのも考えにくいといえます。

新築マンションの価格上昇は依然として変わらず

東京五輪開催決定直後から、新築マンションの価格が少しずつ上昇していると言われてきましたが、2019年上半期でも依然として上昇しています。

2019年上半期の新築マンション平均価格は6,137万円となっていて、2018年は5,871万円だったことから、5%近く価格が上昇しています。

2018年だと、新築マンションの価格は横ばい傾向が高かったので、価格上昇がストップしたのか?と思われていましたが、東京五輪が目前になってきた2019年にまた上昇傾向を見せてきました。

近年供給戸数が大幅に減少してきているため、新築マンションでも売りやすい戸数で価格を少し高くもしくは維持が可能になっています。
以前であれば、売れ行きが不安な地域でもとにかくたくさんの戸数が入る大きなマンションを販売している会社も多かったですが、そのようなマンションのほとんどが経営破綻を起こしています。

ですが、好立地であまり戸数がないマンションの場合は社会情勢にも影響されずに売れています。

つまり、供給戸数が減って新築マンションを買いたい人と売りたい人のバランスが整い始めたということも新築マンションの価格が上昇している理由にもなっているのです。

また、新築マンションの価格が下落すると言われていた大きな原因の1つに消費税の増税、東京五輪といった社会的に影響を与える事柄が続いたため、不動産価格がピークアウトしてしまうのでは?というものでした。

実際、多少なりとも不動産価格が下がる時期が訪れる可能性はありますが、だからといって東京五輪の後大幅に下落してしまうとか景気が悪くなるなどの影響はあまり考えにくいと言われています。

なぜなら、過去の夏季オリンピック開催国は皆、経済的な打撃は受けていません。

五輪開催時はもちろん上昇しますが、開催後に大きく経済が失速してしまう、というような状況はあまり見られないので、東京五輪に関しても同様の見解を示すのが妥当ではないか、と考えられています。

中古マンションの値崩れは「外国人売り」の影響は受けるのか?

東京五輪開催が決まった2013年以降、多くの外国人が都心のマンションを購入しています。

そのため、中古マンションは東京五輪前に外国人売りの影響を受けて値崩れしてしまうのでは?と考えられていました。

理由は日本の税制が関係していて、不動産所有期間が5年以下だと所得税30%、住民税9%のところ、5年を超えると所得税15%、住民税5%と約半分にまで減少します。

そのため、2013年に買ったマンションを5年が経過する2018年頃から売ってしまおうという外国人が増えてきて、中古マンションが値崩れする、言われてきました。

実際、2018年付近になると外国人がマンションを購入しなくなってきた、という声もあるので利益を得たい外国人売りはあったのかもしれません。

しかし、値崩れという問題に関して言えば、ほとんど影響なく価格が推移しています。

そもそも、外国人としても利益を求めており一斉に皆がマンションを売って値崩れさせるようなことが起きれば、自分の利益も減ってしまうので、慎重に検討している人がほとんどです。

なので、2018年が過ぎた現在も平均価格は緩やかに上昇しています。

新築マンションが継続的に価格上昇を続けているうちは、中古マンション相場も崩れる事はないと考えられています。

値崩れが起きてしまう原因の多くが、リーマンショックのように予想だにしていない事態が起きて、経済全体がクラッシュしてしまう時です。

そうじゃない限り、マンション価格に甚大な影響を与えることはあまりないと考えた方が賢明だといえます。

まとめ

東京五輪でマンション価格はどうなるのか?という点についてご紹介しました。

実際、建設費水準も下がらず、新築マンションの価格は上昇傾向にあるため、東京五輪がマンション価格に影響与えるというのは考えにくいでしょう。

値崩れが懸念されていた中古マンションも緩やかですが、価格は安定して上昇しています。

東京五輪がマンション価格上昇に影響することはあって、開催終了後にマンション価格が大幅下落するというようなことはないと考えられます。

ただ、予期せぬ事態というのはいつでもつきものなので、購入や売却については慎重に検討する方がよいでしょう。