目次
不動産投資における節税
不動産投資においては以下の税金を節税することができます。
1.所得税
所得金額に対して課税される所得税は、所得(収入)額が多ければ多いほど納める税金も高くなる仕組みになっています。
その所得税にも関わるのが不動産所得です。
不動産所得は実際に家賃収入として得た金額から、物件にかかる必要経費を差し引いた金額を指しています。
固定資産税や管理費、修繕費、減価償却費といった必要経費を家賃収入から差し引いたとき、その差額がプラスになっていることでそこに所得税がかかってきます。
ただ、それが赤字であった場合はどうでしょうか。
家賃収入を必要経費が上回ってしまった場合は税務上赤字となります。
赤字となることで、給料所得との損益通算が可能になります。
要は、不動産所得が赤字になればなるほど、所得合計が少なくなるため所得税が節税できるというわけです。
きちんと確定申告をすることで所得税の還付を受けることができます。
不動産所得が赤字というのはあまり好ましくないかもしれませんが、赤字だからこそ節税できる強みもあります。
2.住民税
住民税は所得税の納税額のもと算出される仕組みになっています。
そのため、先程説明した損益通算ならば住民税も節税できるというわけです。
3.相続税
相続税は相続や遺言で遺産を受け継ぐ際に遺産総額の金額が大きいとかかる税金のことです。
そんな相続のお金を現金でなく不動産に変えることで節税することが可能です。
現金のまま相続すると、その時価に対して課税されてしまうのですが、不動産の場合は不動産評価額のもと計算されます。
不動産の相続税評価額は実勢価格の70~80%で評価されるため、課税評価額が現金よりも下がり節税に繋がります。
所得税と住民税の節税はあくまで不動産所得が赤字であることが第一条件です。
損益通算(説明と計算方法など)
不動産投資で大切なのは収入と支出のバランスです。
家賃収入から必要経費を差し引いた金額がプラスであれば収益となります。
ただ、不動産投資において不動産所得が赤字になることも考えられます。
サラリーマンとして働きながら不動産投資で家賃収入を得ている方が増えています。
基本的にサラリーマンとして会社から得た所得のほぼ全てが課税の対象になります。
そこに不動産所得として赤字計上、つまり税務上赤字が入ることで所得税や住民税を節税できるのです。
不動産収入が赤字となることで、給料所得との損益通算が可能になります。
損益通算とは2つ以上所得がある場合、一方の赤字と一方の黒字を一定の基準で一定の順序にしたがって合算して計算していくものになります。
サラリーマン所得と不動産所得と2つの所得がある場合、サラリーマン所得は決して赤字になることはありませんが、不動産所得は赤字になる可能性があります。
不動産所得が赤字になっていればその赤字分を給料所得の黒字に合算できるため、課税対象額を少なくすることができます。
そうなると必然的に所得税と住民税が節税できるというわけです。
ではサラリーマン所得のほかにもう一つ収入があればどのような収入でも良いのでしょうか。
それは大きな間違いです。
損益通算が可能なのは農業や漁業、サービス業など事業として行っている仕事からの収入と、不動産経営による家賃収入だけです。
最近ではインターネットでの販売、アフィリエイトのようなことを副業としている方もいますが、そういったことで得た収入に関して損益通算はできません。
【不動産所得の損益通算の計算方法】
まずは不動産所得を計算します。
「不動産所得=家賃収入-必要経費」です。
上記計算式で不動産所得が赤字になった場合、その損失と給与所得を通算することになります。
仮に給与所得が1,000万円だとします。
そして不動産所得が350万円の赤字になった場合、以下のように計算します。
「給与所得1,000万円-不動産所得350万円=損益通算後の所得650万円」
扶養控除や社会保険料などの所得控除が400万円である場合は以下のように計算して課税所得を算出します。
「損益通算後の所得650万円-所得控除400万円=150万円」
最終的に150万円が課税所得となります。
「150万円×5%=7.5万円」が損益通算後の税金です。
経費計上
不動産投資をする上できちんと把握しておく必要があるのが経費です。
不動産投資においてどのようなものが経費になるのか、逆にどのようなものが経費にならないのかきちんと把握しておくことで節税につながります。
経費は基本的に事業にかかる費用のことです。
一般的な会社の場合の経費を挙げると、パソコンや文房具、社用車、デスクなどさまざまなものが挙げられます。
そういったものを購入する費用のほかメンテナンスする費用も経費として計上することができます。
では不動産投資における経費とはどのようなものなのでしょうか。
【不動産投資における経費として認められるもの】
1.管理・修繕費用
不動産を管理・維持するために必要な費用は経費として計上することができます。
例えば部屋のクリーニング代、リフォーム代、設備修理代、設備購入代、清掃費、修繕費などです。
ただ注意しなくてはならないのは、建物の性能を向上させるための費用です。
建物を3階建てから5階建てにする、階段を新たに設置するなどの場合は経費として認められません。
2.管理会社への管理委託料
所有している不動産の管理を管理委託会社に依頼した場合、委託料がかかります。
その委託料も経費として計上することができます。
3.税金
不動産を取得した場合には不動産取得税や印紙税、登録免許税がかかります。
また取得後は毎年固定資産税や都市計画税といった税金がかかります。
そういった税金も全て経費として計上することができます。
4.司法書士や税理士への報酬
不動産を取得すると登記をしなくてはなりません。
登記は基本的に司法書士に依頼します。
司法書士に支払う報酬も経費として計上することができます。
また確定申告を税理士に依頼した場合の報酬も経費として計上できます。
5.保険料
不動産を所有する際には、建物に対して火災保険や地震保険など保険に加入します。
その保険料も経費となります。
6.交通費など
不動産を購入するために使った費用も経費として計上することが可能です。
例えば物件場所に行くために使った電車やバスの運賃、自家用車のガソリン代や高速料金、駐車場代のほか宿泊が必要な場合、宿泊費用も経費となります。
7.不動産投資勉強費用
不動産投資のための勉強費用も経費になります。
セミナー参加費用や書籍・新聞購入費用などが該当します。
8.減価償却費
不動産投資のための物件購入費用は法定耐用年数で割った金額を毎年経費として計上できます。
9.金利
不動産投資物件を購入するにあたりローンを組んだ場合、金利のみ経費として計上することができます。
まとめ
不動産投資では確かに節税が可能です。
ただ、節税のためだけに不動産投資をするのはリスクを背負わなくてはならないのでおすすめはできません。
不動産投資を主体として考え、その中で節税ができることをきちんと把握して賢い投資をおこないましょう。
また、経費として計上できるものは漏れなく把握しておくことが大切です。
不動産投資を始める前から頭に入れておきましょう。