不動産投資は株式投資やFX投資などに比べると比較的安定している投資ですが、そうは言っても投資する前にさまざまな角度から精査する必要があります。

このような調査をデューデリジェンスと呼びますが、そもそもデューデリジェンスという言葉についてあまり知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、不動産投資の中でも特に不動産ファンドにおけるデューデリジェンスに焦点を当てて解説していきます。

少し聞き慣れない単語かもしれませんが、不動産の資産査定をする際にも必要になってきますのでぜひ最後まで読んでみてください。

投資全般で使われる「デューデリジェンス」の意味とは

デューデリジェンスとは、ある投資対象に対して本当に投資しても問題ないかどうかを分析・調査することをいい、「適性評価手続き」と訳されます。

企業の買収や合併、それから金融業界全般で用いられる用語で、投資するかどうかを判断するために、企業価値を査定したり法律に関係する資産の調査などについての情報収集をしたりします。

不動産ファンドに投資する際のデューデリジェンスを解説

不動産ファンドにおけるデューデリジェンスの意味は、本当に投資するべき不動産ファンドなのかどうかを分析・調査するということになります。

では次に、どのような観点で不動産ファンドを調査していけばよいのか、分析するべきポイントを6つに分けて解説していきます。

1.不動産ファンドの運用戦略が自分の投資目的に合っているかどうか

1つ目に、”不動産ファンドがどのような目的をもってどのように運用していくのか“と、それが”自分の投資目的に合っているか“を確認しましょう。

運用戦略や方法に関しての特徴をご紹介しておきます。

安全 ハイリスク・ハイリターン
運用方法 運用益を狙って運用 売却益を狙って運用
物件数 同じ物件で運用 物件を追加しながら運用
用途 幅広い物件に投資 用途を限定して投資

安全に運用していく方は着実に資産を増やしていきたい方に向いていて、一方、ハイリスク・ハイリターンな運用は早く資産を増やしたい方に最適ですが、それにともなって大きく損をする可能性も高まります。

また”物件を追加しながら運用“は運用方法に関する投資家の意向が反映されず収益の目処が立ちにくい、そして”用途を限定して投資“は市場の状況によって収益が大きく左右されるのでハイリスク・ハイリターンな運用となります。

2.どのような物件を組み合わせて投資していくか

次に、どのような物件の組み合わせで運用していくのかを調べましょう。

なぜなら不動産ファンドが掲げている戦略に沿わない物件の組み合わせで運用しているとなると、リターン目標を達成できません。

  • 運用戦略と合っているか
  • 分散投資がされているか
  • 人口動態や都市計画などを参考に、将来性がある地域の物件に投資されているか

この3つの視点で不動産ファンドを調べるようにしましょう。

3.投資する際の借入金の割合はどのくらいか

3つ目に、”投資する際の借入金の割合はどのくらいか“を確認しましょう。

不動産ファンドは一般的に、投資家からの出資金と金融機関からの借入金の2つを資金として投資をおこない、不動産を取得しています。

この取得した不動産における借入金の割合がどれくらいでリスクの大きさが決まり、この借入金の割合を図る指標としてLTV(Loan to Value)というものがあります。

例えば、出資金400万円:借入金600万円で1,000万円の不動産を取得した場合、LTVは60%となり、不動産ファンドが提示するLTVの数値が高いとレバレッジ効果が高い運用、数値が低いと安全性が高い運用ということになります。

  • 不動産投資信託(REIT):約35~45%
  • 不動産私募ファンド:約50~70%

上記の2点は、不動産ファンドにおけるLTVの標準的な設定範囲であり、この数値よりも高く設定されている場合、高リスクな運用をするということになりますのでぜひ気になる不動産ファンドが設定している数値と比較してみてください。

4.目標リターンの実現可能性はあるか

4つ目は、”目標リターンはどれだけか、またその実現可能性はあるか“という点です。

運用益を狙って運用をしていく不動産ファンドに関しては、以下の点をチェックしましょう。

  • 周辺の環境や相場から考えて適切な家賃設定であるかどうか
  • 空室率の想定は適切であるか(目安:5~10%)
  • 運用経費の割合は適切であるか(目安:20~30%)

売却益を狙って運用をしていく不動産ファンドに関しては、地域の相場をもとに取得価格・売却価格は適切であるかを確認しましょう。

5.不動産ファンドの過去の運用実績と十分な体制はあるか

5つ目に、不動産ファンドの過去の運用実績と十分な体制が取られているかどうかを分析しましょう。

運用実績に関してましては、HPなどの過去のデータをもとに確認していきます。

そして、体制に関しましては許認可の取得組織体制という2点をもとに調査し、まず許認可については以下の点をチェックします。

  • 不動産特定共同事業によるファンド=不動産特定共同事業法による不動産特定共同事業社としての許認可
  • 不動産投資信託によるファンド=金融商品取引法に基づく金融商品取引業者(投資運用業)の登録

それから、人員体制については、運用している物件と人数をもとに、一人あたりの担当物件が多すぎではないかどうかをみます。

一人あたりの担当物件が多すぎると抱えている業務が煩雑になり、投資家への運用状況や物件の状況に関する連絡が不十分になるという事態になりえます。

なので、投資後のコミュニケーションを円滑にするためにも組織体制の調査も抜かりなくしていきましょう。

解約時にどのような制限や罰則があるのか確認しておく

解約時のペナルティに関しても、以下の点を事前に確認しておきましょう。

  • 運用期間が定められているのかどうか
  • 途中で解約する場合はどのような制限があるのか
  • 途中で解約した場合の罰則規定

運用期間が定められている不動産ファンドでは途中解約に対する制限や罰則も定められていることも多いので、まとまったお金が必要になった時に備えて、事前に内容を確認しておきましょう。

投資前のデューデリジェンスが最重要!不動産ファンドの価値を判定しよう!

今回は不動産ファンドに投資する際のデューデリジェンスについて解説しました。

不動産投資に限らず金融業界でよく使われる言葉ですが、不動産ファンドにおけるデューデリジェンスは不動産ファンドの価値を判定するということです。

不動産ファンドで収益を増やしていくにはどういったファンドなのか事前に精査することが大事になってくるでしょう。

投資で失敗しないためにも、今回の内容を参考に下調べは十分に行っていきましょう。

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