不動産投資で節税するためには減価償却が重要になってきますが、減価償却には「耐用年数」が大きく関わっています。

実際に不動産投資をしていると耐用年数をよく耳にしますが、正しく理解していないと不動産投資の収益性を高めることが難しくなり、非効率な運用をしてしまう可能性があります。

そこで今回は不動産投資で重要な耐用年数について初心者向けに解説します。

減価償却を活かしながら、収益性の高い物件で不動産投資を始めたい方はぜひ参考にしてみてください。

【基礎知識】不動産投資で重要な「耐用年数」について初心者向けに解説

不動産投資で重要な耐用年数ですが、まずは「そもそもどういうものなのか」「なぜ不動産投資をするときに重要なのか」などについて解説していきます。

耐用年数とは

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耐用年数とは、経年劣化する建物などの資産に対してその機能や価値をあとどれくらい維持できるのかを示した年数のことを指します。

不動産投資では基本的に建物と合わせて土地も購入することになりますが、土地は経年劣化しないためそもそも耐用年数というものが設けられていません。

一方で、建物は時間が経つにつれてひび割れが発生したり、社会が移り変わっていくことによって著しく市場価値が低下したりするので、耐用年数が設けられています。

そして、不動産投資に大きく関わる耐用年数には以下の2種類があります。

  • 法定耐用年数
  • 経済的耐用年数

法定耐用年数

まず法定耐用年数に関しては、国税庁が税金の計算に使うことを目的に定めているもので、以下のように建物の構造を基準に年数が決められています。

構造 法定耐用年数
鉄骨造(厚さ3mm以下) 19年
木造 22年
鉄骨造(厚さ3mm超4mm以下) 27年
鉄骨造(厚さ4mm超) 34年
RC(鉄筋コンクリート)構造 47年

不動産投資では投資用物件の耐用年数があとどのくらいかによって金融機関からの融資の借り入れ期間が決まることが多く、不動産投資は株式投資やFX投資などに比べて融資を借りて始める人が多いため「借り入れ期間がどのくらいになるか」が重要になってきます。

基本的には木造→鉄骨造→RC構造の順番に年数が長くなっていく傾向があり、購入時の残年数が長いほど融資の借り入れ期間も長くなりやすいということになります。

経済的耐用年数

次に、経済的耐用年数は主に銀行などの金融機関が使用するもので、市場であとどのくらいの期間、価値を有するかを示した年数になります。

それぞれの金融機関が独自に設けている基準なので、金融機関によって年数が異なります。

金融機関によって融資を受けられるかどうかが異なるため、まだ実績がない初心者の方などは複数の金融機関で融資の審査をしてもらうことをおすすめします。

不動産投資で耐用年数が重要である理由

不動産投資で耐用年数が重要である理由は以下の3つのタイミングで大きく影響するからです。

  1. 不動産投資をする時
  2. 不動産投資をして物件を所有している時
  3. 不動産投資で得た物件を売却する時

それぞれ詳しく解説していきます。

不動産投資をする時

こちらは先述したように、融資を借りる際に重要になるということです。

金融機関は不動産投資をする物件の耐用年数をみて、借り入れ期間を判断します。

築浅で構造上の問題もなく残年数が長い物件を見つけることができれば借り入れ期間を長くすることでき、その結果、月々のローン返済額が抑えられるため安定した運用に繋がります。

不動産投資をして物件を所有している時

不動産投資で得た物件の価格を費用計上するとき、1回のみで計上してしまうとその年だけ大幅な赤字となってしまうため、購入価格を物件の残年数で割って毎年経費計上していくことになります。

このとき不動産所得においては経費等を差し引いた後の所得金額で所得税や住民税などの税金が決まるため、耐用年数によって税金がいくらになるかが変わってきます。

不動産投資で得た物件を売却する時

売却によって得られる譲渡所得にも譲渡所得税という税金がかかります。

譲渡所得は下記の式によって求めることができます。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用+特別控除)

※取得費=購入価格-減価償却費

ここで注意すべきなのが、取得費は購入価格から減価償却費を差し引いた費用だということです。

つまり、所有時に節税目的で減価償却費を経費計上しすぎると、取得費の金額がどんどん減少していき、それに伴って売却価格から差し引く値も減少するため、譲渡所得が高額になります。

その結果起こりうるのが、譲渡所得にかかる税金が増え、売却時に損をしてしまうということです。

残年数が短かすぎると1年あたりの経費が大幅に増え、売却時にかかる税金も高くなる可能性があるため気をつけましょう。

耐用年数を参考にして不動産投資するときの注意点

耐用年数だけを参考にして不動産投資をするかどうか判断することは危険です。

法律で便宜的に定められている基準であり、何十年も前から導入されているものであるため、建物自体の質や建築技術は当時より大きく進歩しています。

また、防火規制や耐震基準も改定されてより厳しくなっており、その基準に基づいて建物はより強く安全な構造になってきています。

そのため、適切な使い方をして定期的にメンテナンスや修繕を行っていれば、耐用年数よりも長く価値を維持することができるケースもあります。

どのような物件に不動産投資するのが良い?耐用年数を基準にして物件を選ぶ時のポイント

より収益性の高い物件で不動産投資をしたいという方は以下の2つのポイントを参考に物件を選ぶと良いです。

  1. 木造や鉄骨造など法定耐用年数が短い構造
  2. 中古などの築年数が古い建物

これらの物件を選ぶことで効率的に節税でき、より収益性を高めることができます。

不動産投資で節税するためには減価償却が重要だと聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、減価償却を大きく計上できそうな物件を選ぶことで節税しやすくなります。

ただし、家賃収入がある程度ないと節税による恩恵を受けにくいのと、中古物件などは運用が難しく空室リスクも高いため、不動産投資をこれから始めるという初心者の方には向いていないと考えられます。

初心者こそ知っておくべき知識!耐用年数で不動産投資の収益性は高められる

今回は不動産投資で重要な耐用年数や、そこから物件を選ぶ時のポイントなどについて解説しました。

ただ一定の不労所得が得られればそれで良いという方はそこまでこだわる必要はありませんが、「不動産投資の収益を高めていきたい」「不動産投資で成功したい」と考えるなら耐用年数についても知っておく必要があります。

ただし税金などにも大きく影響するため、もちろん気をつけるべきところも多いです。

初心者の方はまず理解するところから始め、得られた知識を不動産投資に活かしながら収益性を高めていきましょう。

 

減価償却がなぜ節税になる?不動産投資をする前に知りたい知識とは