不動産物件を購入する際、一般的にはローンを組みますが、一言でローンといっても実はいろいろあるので、よく検討してみましょう。

不動産物件は安いものではありませんし、資金が必要になります。

そのため、ローンを組むことは不思議な話ではありませんが、ローンの種類によっては損をする可能性もあるので、十分に理解しておくことが大事です。

フルローンについて

フルローンというのは、不動産物件の購入資金を全てローンで組むことを指します。

これによって年収が低い方やまだ若い年代で不動産投資を始めたいと思っている人でも、不動産投資を開始できます。

なぜなら、通常必要だといわれる可能性が高い頭金を用意しなくてもいいですし、不動産投資初心者の場合は、フルローンに興味を持つ人も多いでしょう。

フルローンのメリット

不動産投資をする際に、フルローンにする大きなメリットは投資の初期費用全額を借入するため、自分のお金は手元に残しておけることです。

物件によっては諸費用で100万円以上かかる場合も多く、物件を購入した後に不測の事態が起きて急遽現金が必要になるということも考えられます。

予想していたことだけで物事が進むわけではないため、自己資金を少しでも手元に残せるのであれば、その方が良いでしょう。

また、フルローンは全額借入なので返済総額は大きくなりがちですが、そもそもフルローンするほどの不動産商品であれば、結果的には大きな資産を得られる可能性が高いでしょう。

レバレッジ効果と呼ばれる小さな資金で大きな資産を得られるというのはどういうことかというと、物件自体の購入額が安くても入居者の確保が確実で収益が絶対に出せるというような計算がなされる時です。

自己負担金が少なければ少ないほどレバレッジ効果は得られやすいですが、その分かなり慎重に物件を選ばなくてはいけません。

この点は自分1人で決めても失敗しやすいので、多くの不動産会社と相談することが大事です。

フルローンのデメリット

実は不動産投資をするにあたってフルローンはデメリットが多いといわれています。

なぜなら100%借入で不動産投資をスタートさせるので、例えば自己負担金20%で借入で70%の場合とではキャッシュフローが全く違います。

全額借入の場合、その分返済の期間が長くなるため利息も大きくなり、結果的に借入が70%の場合よりもずいぶんと負担が大きくなります。

月々の返済額も自己負担金がある場合と比べると高くなるので、家賃収入から物件のローン代を支払うとなるとプラスマイナスゼロとなっては意味がありません。

ですので、もしもフルローンを希望するのであれば、きちんとキャッシュフローがプラスになることを確認した上でローンを組むことが大事です。

また返済が大変になることによって、2件目3件目と物件を増やして資産運用を拡大させにくくなります。

一般的にまずは1件目を所有し、ある程度資金的余裕ができて慣れてきてからもう1件というように資産拡大をさせるのです。

しかし、そもそも支払う金額が多くて資産がなかなか増えないような状況だと銀行融資を受けにくくなるなど不動産投資の場合はデメリットが多いでしょう。

さらに、銀行融資の際には全額をローンに組み込むので借入金額が高くなり、その分審査基準が厳しくなります。

若い世代でも問題はありませんが、きちんとした年収や勤続年数、他社の借り入れや物件自体の成功率などあらゆる視点で審査を進められるので、自己負担金がある場合よりも審査決定が遅い可能性もあります。

オーバーローンについて

不動産投資のローンでもう1つの組み方はオーバーローンと呼ばれる方法で、物件の購入価格を超えた金額を銀行融資してもらうことです。

それって可能なの?と思うかもしれませんが、購入する不動産物件自体に抵当権をつけられるので、実現できます。

フルローンの方が安心に感じますが、フルローンは全額借入することが可能である反面、諸費用は不可ということもあります。

たとえば、印紙代や手続き費用、司法書士への報酬などはローンに組み込めないことが多く、その分はどうしても自分で捻出しなくてはいけません。

だいたい物件購入額の10%だといわれています。

一方でオーバーローンの場合は物件購入額よりも多く借入できるので、諸費用や万が一予期していない費用が発生した時にも対応できます。

通常自己負担金で賄わなくてはいけないような費用をローンのお金で補填できるというのは、オーバーローンならではのメリットです。

しかし、銀行融資の金額が多くなるということは返済額が多くなり、利息も多く支払わなくてはいけないということです。

フルローンでもいえることですが、借入額と家賃収入の見込みを考えて、しっかりと利益を出せるのかを検討する必要があります。

不動産投資というのは、常に入居者がいて収益を得られるのであれば問題はありませんが、時として空室になってしばらく入居者が見つからないという場合やリフォームなどの費用が必要になる場合もあるのです。

こういった不安定な部分もきちんと理解しながら、物件選択やローン額を決める必要があります。

また、オーバーローンは不動産業者が物件価格を水増しする可能性もあります。

これはかきあげと呼ばれる方法で、実際の契約書と銀行に提出用の契約書を2部用意して、銀行に提出する契約書は物件価格を水増ししておき、多くの融資をさせることです。

契約者は不動産業者が用意したものだからと信用して何も知らずにそのまま銀行に提出してしまうと、当然違法行為となって融資を受けることはできません。

もしくは、契約途中に知られると融資が無効となり残債を一括請求される可能性が高いので、不動産会社が用意したものをそのまま信頼するのではなくて、自分でもきちんと確認した上で融資を受ける必要があります。

まとめ

不動産物件を購入する最高に覚えておきたいローンについてご紹介しました。

フルローンもオーバーローンもメリットとデメリットがありますが、投資自体にリスクは付きものですので、よく理解しておかなくてはいけません。

また、自己負担金が用意できるかできないかによっても、これらのローンを利用するかしないかが決まってくるので、まずは自分が不動産投資をしようと思った時の資金状況を把握して、専門窓口に相談してみてください。